新井研究室 信州大学繊維学部応用生物科学科

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 新井研究室は、構造生物学タンパク質工学の両分野からタンパク質の研究を行っています。
 
 
構造生物学分野の研究は、X線結晶構造解析や小角X線散乱、クライオ電子顕微鏡などによりタンパク質の立体構造解析を行っています。そして、タンパク質の分子・原子レベルでの生物機能の理解を目指します。
 
 
タンパク質工学分野の研究では、遺伝子工学的手法により、改変タンパク質、融合タンパク質、新規人工タンパク質などを設計開発することで、有用な人工タンパク質を創出し、将来的に産業や医薬品などへの応用を目指します。


 人工タンパク質設計開発・構造解析研究
 (タンパク質工学分野、構造生物学研究分野)



 研究成果プレスリリース(説明資料PDF)
Kurihara, K., Umezawa, K., Donnelly, A. E., Sperling, B., Liao, G., Hecht, M. H.*, Arai, R.* Crystal structure and activity of a de novo enzyme, ferric enterobactin esterase Syn-F4. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 120, e2218281120 (2023). (DOI: 10.1073/pnas.2218281120 ) (PDB ID: 8H7D, 8H7E)



Irumagawa, S., Hiemori, K., Saito, S., Tateno, H., Arai, R.* Self-Assembling Lectin Nano-Block Oligomers Enhance Binding Avidity to Glycans. Int. J. Mol. Sci. 23, 676 (2022).
(DOI: 10.3390/ijms23020676 open access) 


 研究成果プレスリリース(説明資料PDF)
Obata, J., Kawakami, N., Tsutsumi, A., Nasu, E., Miyamoto, K., Kikkawa, M., Arai, R.* Icosahedral 60-meric porous structure of designed supramolecular protein nanoparticle TIP60. Chem. Commun. 57, 10226-10229 (2021). (DOI: 10.1039/D1CC03114G) (PDB ID: 7EQ9)



  研究成果プレスリリース(報道機関向け説明資料カラー版PDF 701KB) 2020.2.17



 信州大学先鋭領域融合研究群Webプレスリリース解説資料PDF) 2015.9.14



 信州大学繊維学部Webプレスリリース(解説記事) 2012.3.26


タンパク質構造機能解析研究(構造生物学分野)〜百聞は一見に如かず〜
  タンパク質の立体構造を知ることは、タンパク質の機能やそのメカニズムを理解し、生物を原子レベルで深く理解するために重要です。
 当研究室では、X線結晶構造解析によりタンパク質の立体構造決定をしています。
X線結晶構造解析の対象は様々な天然のタンパク質(酵素、細胞表層タンパク質など)や新規人工タンパク質です。
 <X線結晶構造解析について>
  タンパク質の結晶化
  タンパク質の結晶をつくるには、まず目的のタンパク質を高純度に精製します。そして精製したタンパク質をさまざまな沈殿剤やバッファーを含む溶液を用いて、結晶化条件のスクリーニングを行います。一般に数百条件の検討を試みます。
 
 以下にタンパク質の結晶をいくつか紹介します。

タンパク質結晶の形は多彩です。そして立体構造決定できるほど良質な結晶を作るのは非常に難しく、タンパク質X線結晶構造解析においてボトルネックとなっています。よって結晶の綺麗さと難しさから、タンパク質結晶ができた時の喜びは希少な宝石を手に入れた時のそれに値します。


X線結晶構造解析では、こうした結晶にX線を当てて得られる回折像から、立体構造を決定します(下図参照)。




 本研究室(新井)は、これまでに約20種類以上のタンパク質の立体構造解明に携わってきました。そのいくつかを以下に示します。
                                                            (理化学研究所共同研究)




改変・人工タンパク質の創製と応用研究 
 〜カスタム・メイドの役立つ人工タンパク質をデザインし、創製する〜

 以下のような、機能の改良や新たな機能を付与したタンパク質を創製し、応用することを目的とした研究を行っています。
 
 改変タンパク質…既存のタンパク質を人為的に変化(改変)させて、新たな利用法や価値を与えることを目的としています。
                      現在、他の高分子と改変タンパク質との超分子の作製を進めています[研究者:小林]

 融合タンパク質…例)GFPと抗体フラグメントのキメラタンパク質を作製[研究者:新井](下の二つの図を参照)。
 
 
 抗体の抗原結合部位のH鎖とL鎖の断片を蛍光色の異なる蛍光タンパク質と繋ぎ、融合タンパク質を作成しました(上図)。[東京大学長棟研究室在籍時]





作成した抗原結合部位と蛍光タンパク質の融合タンパク質を応用し、新規免疫測定法「オープンサンドイッチ蛍光免疫測定法」を開発しました(上図)。

 タンパク質は、生体を構成するナノスケールのマテリアルであり、生体内で様々な機能を発揮する究極のナノマシンであると考えられます。

 分子生物学の進展とともに、多くのタンパク質の機能と構造が明らかにされてきており、次なる挑戦は、この究極のナノマシン・ナノマテリアルであるタンパク質をデザインし、望みの機能を実現することであろうと考えられます。

 そこで、新井研究室では、有用な機能を持った人工タンパク質を設計開発し、応用することを目的とした研究を行っています。

 人工タンパク質のデザインと構築に関する研究により、タンパク質の構築原理と機能発現の理解に貢献すると共に、有用な機能をもった人工タンパク質を産業や医学などへ応用することを目指しています。特に、環境変化に応答する新規人工タンパク質センサーや新規人工結合タンパク質の設計開発、シルク様タンパク質配列を用いた融合タンパク質材料の開発等を目的とした研究を行っていきます。


新規人工タンパク質…天然のタンパク質に由来しないアミノ配列を持ち、目的の構造機能をもつ新規人工タンパク質のデザイン・創製を研究しています。
 
 <人工タンパク質デザインの理念>
 ・タンパク質の構造と機能の原理を理解する
 ・役立つカスタム・メイドタンパク質をつくる
 ・人工タンパク質を産業や医療に応用する
 を目的として研究を進めています。

【バイナリー・パターン法】
新井研究室では、バイナリー・パターン法によりアミノ酸配列を限定した人工タンパク質を作製・研究しています。
 (プリンストン大学Hecht研究室との共同研究)

バイナリーパターン法とは、タンパク質分子を構成するアミノ酸を、親水性(極性)残基と疎水性(非極性)残基の2つのパターンに分けて考え配置することで、目的の構造をもった人工タンパク質を創製する方法です。(Kamtekars et al., Science, 262, 1680-1685, (1993); Hect MH et al., protein Science, 13, 1711-1723.(2004) を参照)


(Patel et al., Protein Science. 18, 1388-1400 (2009) Figure S1より)

(上図左下)コドン表 各色の四角で囲まれたコドンをバイナリーパターン法(上述)に用いました。
(上図右下)疎水性残基・親水性残基に対応するコドンのパターンから、4本へリックスバンドル構造を取るように配列をデザインしました。 [Patel et al., Protein Science. 18, 1388-1400 (2009)]


(上図)バイナリーパターン法により設計された4本へリックスバンドル構造

これまでに、バイナリー・パターン法により、ヘムに結合する新規人工タンパク質などが開発されています。


研究内容
天然タンパク質に深く学び、有用な人工タンパク質を創製し、応用を目指す!