社会人博士を検討されている方へ
社会人博士課程は,企業等に勤務しながら博士の取得を目指す方のための課程です.博士課程は多くの人にとってなじみのないものですので,まずは博士課程について知っていただくために必要と思われる情報をまとめました.
特に,研究時間と学費の確保が問題となる場合が多いです.
博士号取得を希望される方はこちらをご確認いただき,ひとまず問題がなさそうであれば秋山まで直接ご相談ください.テーマおよび研究スタイルのイメージを固めながら勤務先およびご家庭の理解が得られれば出願となります.
入学資格
課程博士と変わりません.詳細は入試要項を確認していただくことになりますが,主に理系の修士または専門職学位を修了された方が進学することを想定しています.
それ以外の方は,企業,研究所等で研究開発の実務に携わってきた方や理学療法士等の専門職の方などは,入学資格審査を行い修士と同等以上の学力があると見なされれば入学が可能となります.入学資格審査は個別性が高いのでまずはご相談ください.
修了年限
博士課程の標準修了年限は3年ですが,研究に時間がとりにくい社会人博士課程の方はその年限で修了できない場合が多々あります.そのため長期履修制度が用意されており,6年での修了を目指すことができます.トータルの学費は変わりません.
研究テーマ
研究テーマは,研究室HPに掲載しているものに関連するテーマであれば可能です.また,社会人博士の場合,申し出により業務上の問題の解決を兼ねたテーマを設定することもあります.
いずれにせよテーマの設定は最も重要なところで,学位取得の成否はこの段階に大きく依存します.教員の専門性の問題もあるため入学前の事前調整が必須です.
研究の進め方
多くの社会人博士学生は勤務時間外や週末の時間で研究をすることになります.そのため,どうしても作業時間が取れない傾向にあり,論文出版までに時間を要します. 研究の進め方はテーマに大きく依存し,コンピュータシミュレーションの場合は自宅作業が主体になります.実験を行う場合は研究室に滞在する必要がありますが,機材を共有する学生と作業を分担する余地があります. 研究指導はリモートで可能な部分も多く,実際に大学に来る機会は卒業までに数回である場合もあります.
業務の中でテーマを設定している場合は事情が全く異なり,職場の装置を用いて業務の一環として勤務時間中に研究を行う場合もあります.これは完全にケースバイケースの対応になるのでご相談ください.
単位取得
博士も講義を受講して所定の単位数を取得する必要があります.講義の形態はさまざまですが,社会人博士課程に対応した講義も多くあります.また,修了要件の単位数は3年間あれば問題なく取得できる量です.
学費の補助
残念ながら,本学では社会人博士には大学側からの学費の補助はほぼ期待できません.多くの奨学金,授業料減免制度が,収入のない学生を対象としているためです. まずは,お勤めの企業で社会人博士向けの給付金等があるかどうかをご確認ください.
満期退学・退学
社会人博士の場合,様々な理由で学位取得に至らず,満期退学・退学となる場合も珍しくありません.これは多くの場合,生活環境の変化が原因です. 在学期間中に,人事異動で業務量・内容が激変した,転勤になった,家庭環境が変化した,などの理由で研究を継続できなくなり,やむを得ず退学される場合もあります. その場合,卒業単位をすべて取得していれば満期退学,そうでなければ退学となります.学位取得に至らなかった場合でも,すでに学会発表,論文出版をされている場合にはその研究業績は残ります.
学位審査
学位審査の規定はこちらをご覧ください.
学位授与の要件
投稿論文複数本の掲載と博士論文の完成が条件となります.
審査体制
主指導教員を主査とし,それ以外の教員3名以上を副査とする審査委員会を組織します.副査は,学位論文の内容に応じて個別に選定されます.
審査会・公聴会
修了の機会は3月と9月の年2回です.要件を満たす目途が立った段階で学位論文の予備審査が実施可能になります.審査では,各審査員から指摘を受け,学位論文の修正や内容の追加を行います. 最後に,公聴会で研究内容のプレゼンテーションを行います.