タバコのクマリン生合成酵素に関する研究

 タバコのフィトアレキシン(植物の生産する抗菌物質)の一つであると考えられているスコポレチン(クマリンの一種)は、様々な刺激で生成・蓄積されます。 なぜ、タバコはこのような物質を作るのか? このことを明らかにするために、様々な角度から研究を進めています。

タバコのクマリン生合成酵素に関する研究

 クマリン類はナス科やセリ科など広く植物界に分布する物質で、抗菌性など様々な役割が提唱されています。同じフェニルプロパノイド生合成系で合成されるもっと複雑な構造をもつフラボノイド(アントシアニン・・・花の色などに関わる・・・などを含む)やリグニン(植物の細胞骨格を支える)などに比べ、その生合成の過程についてはいまだ不明な点が多く、いくつかの説が提唱されている状況のままです。私たちは、クマリン類の一種、スコポレチンを大量に生産するタバコ細胞、T−13株を用い、その生合成に関わる酵素の研究を行っています。これまでに、その初期段階であるフェニルアラニンアンモニアリアーゼの遺伝子を単離し、その植物ホルモンによる発現の変化や、その遺伝子を大量発現させたタバコ細胞における変化について報告しています。

  私たちは、クマリン生合成のうち特によくわかっていないその骨格形成(環化)に関わる反応について明らかにし、「なぜこのような物質を生成するのか」という疑問の解明に挑戦したいと考えています。



注) シロイヌナズナでは、ジオキシゲナーゼがこの水酸化に関わっていることが,京都大(現 東洋大)の清水文一博士のグループによって明らかにされました。


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19th Apr. 2014 更新