タバコの低分子化合物の蓄積に関する研究

タバコのクマリンの蓄積に関する研究

 タバコ細胞で生合成されたスコポレチンはそのほとんどが配糖化を受け、スコポリンとして液胞に蓄積されます。オーキシンやサリチル酸の投与によってこの配糖化と細胞内への取り込み・蓄積の現象が活性化を受け、また、サイトカイニンやジャスモン酸メチルはその作用に対して抑制的に作用することがわかってきました。この現象に着目し、その機構の解明を目指しています。

 タバコが一度分泌したスコポレチンを吸収する現象は、タバコのストレス応答と深く関わっていると考えられます。取り込まれたスコポレチンが配糖化を受けて液胞に蓄積されます。この現象は、上記のとおり、様々な植物ホルモンによって制御を受けることがわかりました。防御反応の調節において、植物ホルモンの相互作用が報告されていますが、この現象も、それらの応答と関連したものと考えられます。また、様々な基質を用いた実験から、このオーキシン等によって引き起こされる蓄積にはスコポレチンに特異的な輸送体が関与しているものと考えています。

 この現象に関わる輸送体について、単離した膜小胞を用いた物質輸送実験などの生化学的な実験からその性質を明らかにするとともに、その本体のタンパク質をコードする遺伝子の解析を行いたいと考えています。

 また、この現象に関与すると考えられる配糖化酵素遺伝子が、オーキシンやサリチル酸に異なったタイムコースで誘導されることがわかりました。その遺伝子のプロモーター領域を解析し、オーキシンとサリチル酸に対する応答様式を検討しています。



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19th Apr. 2014 更新